


23年度社長表彰 社長賞を受賞したmcframe※導入プロジェクト。お客さまのデータ一元化や業務効率化に貢献したこのプロジェクトは、決して簡単なものではありませんでした。ここでは、プロジェクトに参加した3名が集まり、その裏側を語ります。

徹底したヒアリングで、独特なビジネスと管理手法を掴む。
―まずはmcframeについて教えてください。
杉本 mcframeとは主に製造業向けのERP(Enterprise Resource Planning)パッケージで、販売管理、生産管理、購買管理、在庫管理、原価管理などの製造業の基幹業務の機能を有しています。導入を希望するお客さまの主な要望は、「老朽化した現行システムを刷新したい」、「属人的になっている業務をパッケージでの標準業務に合わせることで解消したい」、「データを一元管理して活用したい」などがあります。
竹本 mcframeの特徴として、パッケージの柔軟なカスタマイズが可能なことが挙げられます。要するに、お客さまの要望に合わせた提案が可能なのです。当社ではそんなmcframeを長年扱っており、さまざまな導入実績を持っています。
―それではプロジェクトの経緯をお聞かせください。
竹本 始まりは、mcframeの販売元であるビジネスエンジニアリング社※からの依頼でした。「S社が導入を希望しているが、非常に難易度が高いため、実績が豊富な当社にお願いをしたい。」そのような相談からプロジェクトが開始しました。
杉本 S社への導入難易度の高さは、独自の管理手法にあります。この会社の事業は、電子材料の製造と国内外への販売。主力製品の多くが「貴金属」を原材料として製造されています。貴金属はその希少性や相場変動リスクなどの要因で、安定した調達管理や利益管理が困難という特徴がありますが、S社では、これらの問題解決のために、独自の管理手法を用いています。つまり、一般的なメーカーと比べて調達手順や製造フローが全く異なり、mcframeのパッケージに当てはめることが非常に難しかったのです。
竹本 一般的な企業への導入であれば、パッケージをベースにしてお客さまの要望に合わせながらチューニングするのですが、今回のプロジェクトでは、その独自の管理手法の部分のシステム化については、mcframeは用いるものの、ほとんどゼロベースでの開発となりました。
―初めはどのようなことに取り組んだのですか?
杉本 プロジェクトリーダーである私の初期の役割は、要件定義や基本設計でした。そのため、まずは商品や業務フロー、管理手法を理解するところから始めたのですが、ここが本当に苦労しましたね。というのも、原材料が貴金属という専門的な素材であり、製造フローも独特。正直、これまで携わった案件での常識が通用しませんでした。そのため、お客さまからいただいた資料と睨めっこしながら、不明点を随時メールしたり、ショートミーティングを頻繁に設けていただいたりして、少しずつ理解を深めていきました。ときには長時間お話を伺った日もあるほどです。
竹本 私もプロジェクトマネージャーとして、初期は課題と要望の抽出に力を入れました。実はここが、プロジェクトの今後を左右するというくらい重要な作業です。細かいチェック項目を用意し、徹底的に深掘ります。ここで抜け漏れが発生すると今後の開発段階でミスが生じ、納期に遅れが出る可能性が高まります。特に今回は独特なフローのお客さま。非常に神経を使い、要件を固めていきました。
杉本 要件定義と基本設計が終わると次は開発フェーズに移行します。通常であれば20名ほどで開発を行いますが、今回はカスタマイズする部分が多いため、1.5倍の30名という大人数で業務を実施。宮田さんにも、このフェーズから参加していただきましたが、当時はまだ新入社員でしたよね。
宮田 そうなのです。配属後初めて参画するプロジェクトとして、詳細設計、コーディング、単体テスト、またその後のテスト工程で発生した不具合の対応を行いました。

日立ソリューションズ、お客さま、外部ベンダのワンチームで挑む。
―開発フェーズでの苦労はありましたか?
宮田 新人特有の苦労かもしれませんが、チーム内でのコミュニケーションに苦労しました。今回のように難易度の高い開発では、竹本さんや杉本さんが要件定義で定めた顧客の要件を理解することが非常に重要です。もちろんチーム内でのオリエンテーションはありますが、システムの動きや使い方などの細かい部分までは拾いきれません。そのような不明点を誰にどのように聞くべきなのかで悩みましたね。ただその悩みも最初だけで、開発リーダーや杉本さんに相談をすれば、回答を持っている方につなげていただけましたし、みなさん忙しい中でも気軽に情報共有をしていただけたので、プロジェクト後半には、情報を持つ方にダイレクトに連絡をとり、コミュニケーションが取れるようになっていきました。
杉本 コミュニケーションの取りやすさは今回非常に意識した部分ですので、解決できて嬉しいですね。コロナ禍以降、テレワークでプロジェクトを推進することが主流となりました。本プロジェクトにおいても、今まで交流のない他拠点のプロジェクトメンバーも含めて、バーチャルチームを編成。そのため、特にプロジェクト開始直後においては、チームビルディングの一環として、定期的なミーティングを設けることで、意見交換や悩み相談をしやすい環境づくりを心がけました。また、相手の状況や表情が汲み取れないことに起因して発言を遠慮してしまうことへの対策として、雑談用チャットルームを設け、気軽にコミュニケーションを取れるような雰囲気作りを行いました。
―テストフェーズで印象に残っている部分はいかがですか?
竹本 テストフェーズで私が特に注力したのは、外部ベンダとの連携です。S社には、mcfarameとデータを連携する必要があるさまざまなシステムが存在しており、mcfarame導入にあたっては周辺システムも含めての動作テストが必要でした。本来周辺システムの管轄はS社や外部ベンダなため、私たちが干渉する部分ではないのですが、業務フロー全体の品質を確保するのが私たちに求められている価値。そのため、外部ベンダに対しても当社基準のチェックを依頼しました。ここに対するスムーズな交渉や進行次第で、宮田さんをはじめとする開発陣の対応期日や作業時間が大きく変わってきます。細かなコミュニケーションを取りながら、チェックの推進や問題の解決に邁進しました。
宮田 新人ながらに、スケジュール的にも無理がなく、非常に快適な開発環境だと感じていたのですが、そのような背景があったのですね。ありがとうございます。
杉本 テストを終えるといよいよ実際にシステムを使用するお客さまにおいて習熟度向上のためのトレーニングを行う必要がありました。業務の中で、システムをmcfarameに切り替え実際に触れていただき準備を進めました。いくら私たちが品質の良いシステムをご提供しても、使いこなしていただかなければ意味がありません。そのため、習熟度向上の計画策定から関わり、トレーニングをサポートしました。

より大規模な案件獲得に向けて、地盤の強化を急ぐ。
―プロジェクトを通して感じたやりがいを教えてください。
宮田 初めての案件でしたので、自分が開発に携わったシステムが無事に納品されて現場で活躍していることが非常に嬉しいです。また、プロジェクトを通して多くの学びもありました。それは杉本さんをはじめとしたリーダー陣に相談をした際の回答の速さです。全体を管理されながらも私個人に対する回答が的確で、非常に驚きました。
杉本 それは私がすごいわけではなく、上司への報連相を徹底する仕組みと、それを実行してくださるみなさんのおかげなのです。私がやりがいを感じたのは、納品後にお客さまから「弊社の複雑な業務をここまで深く理解した上で、業務改善を提案してもらえるとは思わなかった」という言葉をいただけたときですね。お客さまの要望に応えることはもちろん、予想を超えた価値を提供できたことに喜びを感じますし、そのプラスアルファが私たちの競合優位性でもあると考えています。また、個人的な考え方の変化もありました。これまでのプロジェクトでは「自身のスキルアップ」を中心に考えていましたが、リーダーとして担当した本プロジェクトでは「メンバーのスキルアップ」を意識できるように。よりマネジメント領域での成長を実感しています。
竹本 このプロジェクトは私のキャリアの中でも最も複雑で難しい仕事の1つでした。S社にとってmcframeの導入は経営戦略の一部であり、導入が遅れたらその分戦略に大きく影響します。まずは、そのように重要で難しいプロジェクトを無事に納品できたことにやりがいを感じています。また、プロジェクトマネージャーは、お客さまに対して情報提供や確認、実働をお願いしなければいけない立場。案件によっては少し心の距離が遠くなることもあります。ところが今回のプロジェクトでは、お客さまから「プロジェクト管理の手法が非常に勉強になりました」という嬉しいお言葉が。今後のキャリアの中でも忘れられない案件になるだろうと感じています。

―最後に、mcframeを提供する上での未来像を教えてください。
竹本 これまで中堅企業を中心に支援してきましたが、今後はより規模の大きな企業もターゲットとしていきたいと考えています。お客さまの規模が大きくなると、その分マネジメントの難易度が上がりますし、メンバー数も増えます。複数の大規模案件をこなすための事業基盤と人財育成、リソース確保に力を入れていきたいですね。特に若手の宮田さんは、これからさらなる成長をしていけるような人財。期待しています。
宮田 大規模案件になりますと、システムの要件や求められる性能が変わってきます。日々の業務から学びを得ながら、主体的な自己研鑽にも取り組み、困難にチャレンジできる人財をめざしていきます。
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